今回は、結論からお伝えします。
⚫️これからは「予防」が必須
予防医学という考え方については、日本の医療制度・医療提供者・患者の全てにおいて世界に遅れをとっています。これからは「予防」を嫌でも実践していかなくてはいけない時代がやってきます。
それは何故か?
⚫️世界に誇れる日本の医療制度。でも問題だらけ。
21世紀の予防医療についてお話しする前に、今の日本の医療の現状について少しでも知っていただきたいと思います。
今日の日本の医療制度は、世界一です。これは皆さんもそう感じてることだと思います。
国民皆保険制度のもと、誰でもどこでも平等な医療を受けられ、自分で自由に病院や医師を選ぶことが保証されていて、比較的安い費用で高水準の医療を受けることができます。
現実にWHO (世界保健機関)がまとめた世界各国の医療制度の比較において、日本の医療は世界で最も高水準で、これが今日の長寿国日本を可能にした大きな原動力の一つです。
ではこの医療制度の、どこに問題があるというのでしょうか?
●問題点❶:このままでは医療保険制度の確保が難しくなりつつある
日本の医療保険制度は基本的に、疾病に対する保険制度であるため、病気にならないと原則を使うことができません。
更に、医療費の自己負担が比較的安いため病気になってから治療すれば良いという風潮がある。
また、早期に治療を開始すればほぼ防げる生活習慣病でもある慢性疾患(高血圧、高脂血症、動脈硬化、糖尿病など)も、病院に行けば完治のための治療ではなく、症状抑制のための投薬治療が始まり、この投薬は一生続くことになります。
これらの結果、医療費増大の原因になっています。
●問題点❷:日本の医療体制が作った「世界一の寝たきり大国」
日本の医療制度は、世界一である一方で、「世界一の寝たきり大国」でもあります。
「寝たきり」とは一日のほとんどをベッド上で過ごしている状態とされ、寝たきりの高齢者やその予備軍は、2025年には約490万人に達するといわれています。寝たきりは、病気や障害によってなるものだけではなく、過保護による「寝かせきり」がいちばんの原因であることが指摘されています。これは高齢者に対する適切なリハビリテーションや介護が不足しているものと考えられます。
また、医学的には入院の必要がないにも関わらず、社会的理由(家で経過を見るのが心配、ケアする人が近くにいない、仕事があり忙しいからケアが出来ない、などの理由)により長期入院を続けたり入退院を繰り返す「社会的入院」があり、これは病院の介護施設化を招くだけでなく、寝たきり助長・増悪につながり、医療費の増大に加担しています。
●問題点❸:高齢者の医療費増大
75歳未満が約22万円、75歳以上は94万円
この金額は何を意味するか、おわかりになりますか?
厚生労働省が公表した2017年度の病気やケガの医療費ですが、国民一人当たりの医療費は、75歳未満が約22万円に対し、75歳以上は約94万円だそうで、75歳以上の高齢者の医療費が極端に高額で、日本が抱える少子高齢化により、このままではこの制度は破綻してしまいます。
●問題点❹:保険医療で「予防」はサポートされていない
日本の医療保険制度のもとでは、提供される医療サービスは「診断」と「治療」にほぼ限定されており、政府や医療機関が「これからは予防と健康維持が重要だ」と言っているのに対し、実際は予防や健康維持に保険医療はほとんどサポートされていないのが現状です。
生活習慣病を早期に治療を開始すれば、慢性化も防げるため、医療費も抑えることができるのに!
⚫️これから私たちが求められること
ここまでお話ししたことから言えることは、病気になってから治療を開始したのでは、治りにくいし、そもそも、苦痛を伴う。更に、治療費(診察、検査、薬、入院、手術など)のほかにも、通院にかかる交通費や時間的損失なども必要になる。
ではどうしたら良いのか?
そうならないように予防すればよい。
予防医学ということでは遅れをとっている日本ですが、世界では30年以上も前から高齢者の医療費の増大を予想し、予防医学を国策として取り入れている国があります。公的医療保険が存在しないアメリカでは、病院に行くと非常に高額な医療費がかかるため、予防意識が徹底され、病院に行くまでの医療サービスが充実しています。その最たるものがサプリメント(健康食品)であり、日本の市場規模(1兆5000万円)と比べるとアメリカは10倍以上に達します。
日本では、サプリメントに対する理解も、アメリカやヨーロッパに比べ遅れています。
サプリメントは決して薬ではありません。健康食品です。
(詳しくは2019年2月23日に薬剤師である岩本真理子先生がサプリメントについて書かれていますので参考にしてください)
以上、今回は日本の医療制度が抱える問題点を解説しました。
日本の医療制度は素晴らしい面もありますが、抱える問題も山積みです。
今後は日本も、個人の責任が問われる時代となります。日本の医療制度や病院を過信した「病院に定期的に通っているから安心」という考えは捨てて、「自分の健康は自分で守る」という意識を徹底し、自ら健康を守る対策を講じるべきでしょう。
健康長寿は予防の賜物であり、病気になってからでは手遅れになってしまう可能性があります。
今回はここまで。「西洋医学・東洋医学のいいとこ取りしちゃえ!鍼灸&柔整師 松本」がお伝え致しました。
次回は、「自宅でできる具体的な予防医療」についてお話ししたいと思います。
株式会社あどばんす 代表取締役
さの整骨院・鍼灸院 院長
松本克也 Katsuya Matsumoto
経歴
- 明治鍼灸大学卒業
- 明治東洋医学院専門学校卒業
- 腰痛専門の「わたなべ整形外科」リハビリ科勤務(京都市)
- カイロプラクティックなど身体のバランス調整を行い、1日100〜150人の患者さんが来院する「鍼灸整骨院 鷹ノ羽グループ」勤務(神戸市)
- 前職で同僚だった友人が独立する際に誘われて一緒に堺市で「鍼灸整骨院」立ち上げに参加、わずか1年目で1日70人の患者さんが来院する人気整骨院になる
- プロ野球の球団や角界などプロスポーツ選手や日本一を目指すアマチュアスポーツ選手が来院する「関目病院」のリハビリ科
- 前職で同僚だった友人が独立する際に誘われて一緒に大阪市で「鍼灸整骨院」立ち上げに参加、プロ野球選手をはじめスポーツ選手が通う整骨院に
- 2001年に地元である泉佐野市で「さの整骨院・鍼灸院」を開院。1日40〜100人の患者さんが通う整骨院に。 交通事故に遭った患者さんが二次被害(正当な治療が受けられない、正当な慰謝料を貰えないなど)に遭わないように、安心して治療に専念できる環境整備し、弁護士事務所、病院と提携しながらサポート。
- 「株式会社あどばんす」起業。「さの整骨院・鍼灸院」と阪南市に「あすなろ鍼灸整骨院」を開設し、今までに約20人の柔整師、鍼灸師、その他医療系の専門家を育成。
資格
- 鍼灸学士
- 柔道整復師
- カイロプラクター
- ファスティングアドバイザー