薬剤師の岩本まりこです。
先日、職場で「目薬ってたくさんあって、どれがいいか分からない」と言われました。
確かに、市販の目薬はたくさんの種類があるので迷ってしまいますよね。みなさんは目薬を選ぶ時、どうしていますか?
今回は目薬のお話を書いていこうと思います。
目薬を選ぶポイント
目薬を選ぶ時のポイントは3つあります。
まずは、目的に合っているかどうか。
目の乾燥に対してなのか、目の疲れに対してなのかで選ぶ目薬は変わってきますよね。
次に、コンタクトレンズを着用したままで使えるかどうか。
コンタクトレンズを使っている方も多いと思いますが、コンタクトの種類によっては着用したままでは使えない場合があります。購入前に確認しておきましょう。
最後に、清涼感があるかどうか。
スーッとする目薬も数多く売られています。清涼感が好きな方はいいのですが、苦手な方もいらっしゃいますよね。清涼感があるかどうかも、ぜひチェックしてみてください。
スーッとする目薬
一昔前、俳優さんが目薬をさして、「キターッ!」と叫んでいるCMを見られた方も多いと思います。そのCMがよく流れていた頃、大学の先生から「目薬をさした時に、スーッとしたり刺激があるのは目に負担になる。スーッとしないものの方が目のためには良い。」と言われて驚いたのをよく覚えています。
目薬には効き目の成分以外に、いろいろな添加物が入っています。その一つに、メントールやカンフルという成分があり、これらが入っているとさした時にスーッとするのです。
おもしろいことに、これらの成分は市販の目薬に使われていますが、病院で処方される目薬には入っていません。スーッとするのは感覚だけで、何か効果が期待されるわけではないからでしょうね。
スーッとすると気持ちよく感じて愛用されている方もいると思いますが、使用回数を守って使い過ぎないように注意してくださいね。
充血を「改善」する?
市販の目薬の中には、目の充血を取るとうたっている目薬がありますよね。白目を白くキレイに見せる目的で使われている方もいるのではないでしょうか。私も昔から目が充血していることが多く、充血が取れると言われると魅力的に感じてしまいます。
充血を取るとされる目薬には血管を細くする作用のある成分が入っていることが多いです。血管を細くすると、確かに充血は取れます。ただし、それは一時的なもので、根本的な解決にはなっていないのです。
医療用でも血管を細くして充血を取る目薬はありますが、
「充血の原因に対する治療を併せて行ってください」
と書かれています。これを見ても、白目の血管を細くするだけではダメということがわかりますよね。
目が充血しているのには原因があるはずです。炎症が起きているかもしれないし、細菌に感染しているかもしれません。充血を取るだけではなく、その原因をしっかりと治療していくことが重要です。
防腐剤は危険?
「防腐剤が入っている目薬は目に良くないのでは?」と言われる方がいらっしゃいます。
目はとっても敏感な臓器のため、目に直接使用する目薬は無菌状態で作られています。しかし、一度開封してしまうと、菌が入ってしまう可能性があるので、それを防ぐために防腐剤は必要なのです。
最近では防腐剤フリーの目薬もあるので、どうしても防腐剤がイヤという方はそちらを選んでもらったらいいと思うのですが、私個人としては防腐剤の有無よりも気にしてもらいたいことがあります。
それは、使用期限を守ることです。
「使用期限って容器の外側に書いてある期限のことでしょ?」と思われた方。間違いではないですが、完全な正解ではありません。
容器の外側に書いてある使用期限は未開封の場合の期限です。
使い始めたら、1か月を目安にしてください。また、防腐剤の入っていないものは1週間~10日が目安です。
添加物を気にして防腐剤の入ってない目薬を選んだものの、それを長期間使っている方が目には良くないんです!!
目薬もお薬です
冒頭の方にいろいろ話を聞いてみると、目に入ったほこりや花粉を洗い流したいけれど、ビタミン等が入った目薬が安かったので今はそれを使っているとのこと。目的と選んだ目薬が合ってないのが分かりますよね。
この方には、涙と同じ成分で目を洗い流すように作られた目薬をお勧めしました。(ちなみに、カップに薬液を入れて目を洗う製品もありますが、目の周りの皮膚についた汚れが目に入りそうな気がして、私はあまり好きではありません。)
目薬は飲み薬と違って気軽に買って使ってしまいがちですが、目薬もお薬であり、目的や用法・用量、さらには使用期限をしっかり守って使ってもらうことが大切です。
また、市販の目薬を使っていても症状が改善しない場合は、眼科で診てもらうようにしてくださいね。
薬剤師
岩本真理子 Mariko Iwamoto
経歴
- 神戸薬科大学を卒業後、地元の調剤薬局に就職
- 西洋薬と漢方薬を取り扱う薬局で勤務した後、精神科、小児科の門前薬局を経験
- 育休中取得後、調剤薬局に復帰。仕事と育児に奮闘中。
資格
- 薬剤師
- 漢方薬・生薬認定薬剤師