あなたの健康状態は白?黒?それともグレーゾーン?

現在日本の医学には大きく分けて西洋医学と東洋医学があります。この西洋医学と東洋医学をいろいろな角度から分類してみようと思います。

まずその前に、病気には大きく分けて2種類あります。急性疾患と慢性疾患です。

急性疾患とは、外傷・急性の虫垂炎や肺炎などの感染症・薬物中毒など、急激に発症し、かつ経過の短い疾患です。
慢性疾患とは、癌・高血圧・糖尿病・高脂血症・リウマチ・アレルギー性疾患などのように時間をかけて発症する疾患です。

例えば、病気を(黒)、健康を(白)と仮定すると、白黒の境がはっきりしていて、急激に白から黒に変化するものが急性疾患で、逆に時間をかけて白から徐々にグレーになり最後に黒くなるものが慢性疾患です。

病気の定義の仕方の違い
西洋医学というのは、病気(黒)を定義することから始まる医学です。なので、白黒がはっきりしている急性疾患には非常に効果的な治療ができます。

逆に、慢性疾患は、白(健康)と黒(病気)の間に大きなグレーゾーンがあり、白から黒に変わるのに何年もの時間の経過(グレーゾーン)を必要とするので、黒と定義された時点では既に慢性化していることが多いのです。

東洋医学は、健康(白)を定義する医学です。日ごろから脈診や舌診などを行い、白からグレーゾーンにならないように、日ごろから健康チェックを行なっていて、グレーゾーンになるとすぐに、白に戻すための治療が始まるので、予防医療に適しています。

西洋医学と東洋医学はどう違う?
『西洋医学』とは、簡単にいうと西洋で発展してきた現代医学のことです。一方、『東洋医学』は東洋で発展してきた伝統医学といえます。

現代日本の医療においては、西洋医学が中心です。しかし近年、西洋医学の限界を感じつつあり、西洋医学のなかに東洋医学的な考えを取り入れる『統合医療』に徐々に注目が集まっています。

西洋医学と東洋医学では、考え方や治療へのアプローチに違いがあります。

この違いはどちらが良い・悪いというものではなく、得手・不得手のようなものです。まずは両者の考え方と治療へのアプローチについて見ていきましょう。

西洋医学の考え方と治療へのアプローチ
西洋医学は解剖学や生理学を中心に発達した医学で、病気(黒)を定義することから始まり、そのために血液検査や尿検査などの科学的検査によって細胞・遺伝子レベルから病因を分析します。現在では、必要に応じてCTやMRIなどの画像検査を行い、病気の原因を解明して「病名をつける」ところから治療がスタートし、その病名に応じて投薬や手術によって治療を行う、「エビデンスに基づいた医療」といえます。具体的な治療法としては、検査により病原体を特定し、投薬や手術によってその病原体を排除する治療をします。

ただし、病気(黒)になる前のグレーゾーン、つまり「病名のつかない病気を治療することは苦手」なのです。

例えば、高血圧とは血圧が140/90mmHg以上と定義づけがされるが、もし検査を受けてこの数値以下であった場合、つまりこの定義に当てはまらないと高血圧とみなされない。つまりグレーゾーンでは本格的な治療は行われず、血圧は少し高めなので注意が必要と診断され、安静・投薬などで一時的に様子を見るとことが多く、しばらくして病気の定義に当てはまった段階で本格的な治療が始まるので慢性化してしまい治癒しにくくなる場合もあります。

みなさんも健康診断を受けられたことがあると思いますが、「健康です」と書かれていたことがありますか?おそらく「異常なし」と書かれていたと思います。この「異常なし」とは、言い方は悪いかもしれませんが「あなたは、黒でも白でもないグレーゾーンです。とりあえず現時点では病気ではないので、しばらく様子をみましょう」と言う意味で「異常なし」は勘違いしないでもらいたいのですが、健康を保障されたわけではないのです。

東洋医学の考え方と治療へのアプローチ
東洋医学は、日ごろの健康状態に着目し、生活習慣の改善・指導なども用いて病気にならないよう個々の免疫力向上を主とした治療法で、身体の内側から治療し、生活習慣病に有効です。

また患者さんの自覚症状や症候を重視して、病態に着眼し、治療を行います。

一般に東洋医学が効果を発揮するのは、自律神経、免疫機構、内分泌系が関与しているもののいずれかであることが多いといえます。弱点としては、手術を要するガンなどの疾患、肺炎などの細菌感染症などが挙げられます。このような病気の疑いがある場合は、東洋医学だけにこだわる必要はなく、西洋医学的アプローチも大切だと考えます。

まとめ
以上のように、西洋医学と東洋医学の違いは、体の治し方にあります。

例えば工場に機械があったとします。その機械が故障して止まってしまいました。止まってしまった原因はネジが外れてしまったことでした。ネジをはめたらまた動き出しました。西洋医学の場合は、そのネジをはめて動き出せば治ったということになります。

東洋医学の場合はなぜネジが外れたかを考えます。機械のネジは機械全体の振動が大きくて、その影響で外れた可能性があります。そうなると、またネジをはめてもまた外れてしまう可能性があります。よって振動を抑えることを考えます。東洋医学では、機械を安定化させて、振動を抑えることにより、ネジが外れにくくなることで治ったと考えます。

要するに即効性を求めて対処するのか、原因まで追究していくのかの、考え方の違いにあります。どちらにも利点がありますがライフスタイルに合わせて選んでいくことが大切です。

今回はここまで。「西洋医学・東洋医学のいいとこ取りしちゃえ!鍼灸&柔整師 松本」がお伝え致しました。

次回は、「21世紀の医療について~予防医療の重要性~」についてお話ししたいと思います。お楽しみに!