ハグの効果

皆さんこんにちは。JCR登録カイロプラクターの彦坂です。

 

コロナ禍での新たな生活様式にストレスを感じている方は多いと思います。

人と会っても、距離をとらなくてはならなかったり、マスクをしているため、相手の表情や声がわかりづらく、コミュニケーションがうまくできなかったり、子どもたちは学校が再開されても、これまでのように授業や行事ができなくなり、友達とじゃれ合ったり、おしゃべりすることも難しくなり、とりまく環境は激変しています。

大人は自分に合ったストレス解消法や気分転換の仕方を知っていて実践できても、小さなお子さんは「ストレスがたまった」という言葉での表現はなかなかできず、自分で対処することはとても難しいです。

カイロプラクターである私が、患者さんが一緒に連れてくるお子さん達の体を診ると、一様に頭皮や背中が硬くなっていることがわかります。幼いながらに、心もからだもストレスをためているなぁと思います。

 

今回は自宅ですぐにできるストレス解消法のひとつ、「ハグ(hug)」についてご紹介します。

 

「ハグ(hug)」とは「腕で(誰かを)抱きしめる」ことです。幼児語では「ぎゅう」ともいいます。非言語コミュニケーションのひとつで、愛情の表現として行なわれたり、親密さ、友情などを表し、伝える手段です。

 

映画「アナと雪の女王」に登場する、愛されキャラの「オラフ」が

『僕はオラフ! ぎゅーって抱きしめて!(Hi ! I’m Olaf and I like warm hugs!)』

って言ってましたよね。

 

「ハグ」の効果は次のとおりです。

 

・幸せな気持ちになる

・不安感が和らぐ

・痛みが和らぐ

・信頼感が増す

・共感力がつく

・自己肯定感が上がる

・人にやさしくなれる

・質の良い睡眠が得られる

・副交感神経の働きが優位になり排泄、分泌機能が高まる

 

どうですか?こんなに嬉しい効果が得られるのならば、すぐに「ハグ」を試してみたくなりませんか?

 

次に、「ハグ」をすることで分泌されるといわれる3つのホルモン は以下のとおりです。 

 

  • 「セロトニン」

「セロトニン」とはストレスに対して効能がある脳内物質です。痛みを和らげる効果もあります。

日光を浴びたり、有酸素運動をしたり、バランスの良い食事を摂り、腸内環境を整えることも有効な方法です。セロトニンは睡眠ホルモンの「メラトニン」とも密接な関係があります。

 

  • 「ドーパミン」

「ドーパミン」は感情、意欲に関するホルモンで、人格形成にも重要です。やる気がある状態はドーパミンが大量に分泌している状態といわれます。

報酬への期待を感じて行動する、好きな音楽を聴く、食事ではタンパク質をしっかり摂る、瞑想をすることなども有効な方法です。

 

  • 「オキシトシン」

「オキシトシン」とは別名「抱擁ホルモン」、「愛情ホルモン」、「幸せホルモン」ともいわれ、血圧低下やストレス軽減に役立ちます。 親しい人とのふれあいやマッサージといったタッチケアによっても分泌が促されます。

会話やスキンシップ、ヨガやストレッチ、動物とのふれ合い、意外にも、オンラインゲームやオンライン飲み会なども効果があるともいわれています。

 

「ハグ」をすることでこれらのホルモンが分泌され、素晴らしい効果が得られるということです。是非、ご家族、パートナー、信頼のおける友人と取り組んでみてはいかがでしょうか。

ただし、愛情がない、嫌いだと思う相手とのハグはストレスが増えるだけですのでご注意を。

一人暮らしの方は大切なペットやぬいぐるみ、抱き枕などでも大丈夫です。

 

 

私が子供の頃、地域の学校などで子育てについて講演をしていた母は、私に「ハグ」を実践してくれていました。小学6年生ぐらいまで「ギューってさせて!」と、よく言われていました。私も照れながらも、10秒ぐらいはハグをさせてあげていました。そして母は必ず、「生まれてくれてありがとう。」と耳元でささやいてくれました。

中学生ぐらいになると、さすがに私も、「うるさい、気持ち悪い、やめろ~!」と言って拒んだ記憶があります。

 

私にとって子育ての師匠のような母ですが、約10年前に交通事故に遭い、1ケ月後に脳内出血のため左半身麻痺の身体障がい者になって、現在は車いす生活を送っています。

入院していた当時、担当の看護師さんが「お母さまがハグしてほしい、と言われるので毎回ハグをさせてもらっています。」と話をしてくれました。その話を家族や兄弟、姪や甥たちに伝えると、皆がお見舞いで病院へ行く度、最初と最後に、母にハグをしてくれるようになりました。

私も「お母さん、大丈夫だからね。」と耳元でささやきながら、小学6年生以来のハグを毎回、病室でさせてもらいました。退院後も母に会うたびにハグを続けました。

その後、事故から3年程経ったある日、母が突然「わたしはもう大丈夫だから、これからはハグじゃなくて握手にして」と言ったのです。ハグによって事故後の痛みやストレス、不安感が緩和され、心が満たされたのだと思いました。

 

私も2人の子どもの父親です。長男は小学6年生でいつのまにか私とほぼ同じ背丈になりました。毎日とはいきませんが、よく「ハグ」をしています。 小柄でまだ幼さが残る小学4年の長女は、「お父さん、ギュウして~」と言ってくれています。

私はカイロプラクターですから、ハグと同時に背中や頭、手足もさすり、体の状態も観察しながら、タッチケアもしています。

「生まれてきてくれてありがとう。」・・・その一言も伝えています。

 

最近「ハグ」をしていなくて、急に「ハグ」をするのは少し抵抗があるという方は、パートナーやお子さんが横になって休んでいる時に、背中をさっすてあげてみるのはいかがでしょうか。背骨にそって、手のひらでアイロンをかけるように、上下にゆっくりとさすったり、背中の真ん中から弧を描くようにやさしくなでてあげるのです。または、イスに座っている時に、背後から肩に手のひらをおいて、やさしくなでてあげるだけでもいいです。

「ふぅ~」という深呼吸が聞けたら、それは、心と体が軽くなったいいサインです。

親しい人に体をふれられた時に、癒しホルモンである「オキシトシン」が脳からでてきます。

このタッチケアのよいところは、なでる側のひとにも「オキシトシン」がでることです。

 

新型コロナウイルスの感染拡大の収束の兆しは全く見えず、まだまだ油断のできない状況が続きそうですが、親しい人との「ハグ」によって、少しでもストレスや不安が和らぎ、前向きな明るい気持ちになれるように願っています。