間違えない治療院選び!

もし腰痛になったり、交通事故にあってむち打ちになって動けなくなったら、あなたはどこにいきますか?
整形外科ですか?
整骨院ですか?
鍼灸院ですか?
整体(カイロプラクティック)院ですか?
ちまたには、たくさんの整形外科、整骨院、鍼灸院、整体院(カイロプラクティック)などがあります。院には、それぞれ特徴や得意な分野があります。
治療院を探そうと思っても色々ありすぎて、どこに行けばいいのかよく分からないという方も多いと思います。
私もたまに患者さんから、どこに行ったらいいのか問い合わせがあります。
整形外科、整骨院、鍼灸院、整体(カイロプラクティック)これらの業種は厳密にいえばそれぞれ違います。
まず大事なことは、あなたがどのような目的をもって治療院を探すかです。
・症状の違いによる選び方(急性?慢性?など)
・施術の目的は治療系か?リラクゼーション系か?
・治療費は健康保険を使いたいのか?自費でも良いのか?
・国家資格保持者がよいのか?そうでなくてもよいのか?
・近い方が良いのか?遠くても良いのか?
など選択肢がたくさんあります。
重要なのは、自分の選ぶ目的であったり、何を優先するかです。

私には、整形外科、整骨院、鍼灸院で勤務していた経験があるので(整体・カイロプラクティック院での勤務はありませんが)、これらの特徴とメリット・デメリットでの選び方をお話しします。

◉ 整形外科、整骨院、鍼灸院、整体の特徴での選び方

整形外科では、医師(整形外科医)が骨・関節・筋腱(運動器) ・手足の神経(末梢神経) ・脊椎脊髄の治療を行います。診察による理学所見とX線 (レントゲン)やMRIなどの検査をもとに診断し、症状や病状にあわせて医療行為(投薬、注射、手術、リハビリテーションなど)を行います。診断、医療行為ができるのは、医師だけです。

次に、整骨(接骨)院では、柔道整復師と言う国家資格保持者が施術を行います。柔道整復師の専門は、骨折・脱臼・捻挫・打撲・挫傷(肉離れ)で、主に急性期のケガの施術を行います。施術には、手技(後療) ・電気療法・運動療法・冷罨法・温罨法などがあります。病院と同じように健康保険も使えますが、捻挫・打撲・挫傷などケガの施術、骨折・脱臼の整復(応急処置のみ)が業務範囲であり、それ以外の関節・筋の痛みや慢性的な疾患(腰痛や膝痛など)には健康保険は適用外となります。

鍼灸院では、鍼灸師という国家資格保持者が、鍼(はり)と灸(きゅう)で施術を行ないます。はり師は、その疾患や症状に応じた一定の経穴(ツボ)などに鍼で刺激を与える施術法です。きゅう師は、その疾患に応じた、一定の経穴または皮膚の一定点に火をつけたもぐさ等の温熱材を直接または間接に接触させて、その温熱によって人体に作用させる施術を行う施術法です。
はり師やきゅう師の場合、直接的な保険取り扱いではなく、医師の診察を受け、同意書がないと保険が使えません。また鍼灸は、頸椎捻挫後遺症(むち打ち)、腰の痛み、神経痛、五十肩、頸腕障害、リウマチのみ健康保険が適用される場合があります。

整体(カイロプラクティック)では、主に日本古来の手技やアメリカで誕生したカイロプラクティック等を組み合わせた手技で、からだ全体の骨格や関節の歪み・ズレの矯正、骨格筋等の調整を行います。
ただし日本では、整体・カイロプラクティックを開院するために、特に必要な資格はありません。国家資格ではなく、独自の団体が認めた民間の資格になります。もちろん保険は取り扱いできません。

◉ 整形外科、整骨院、鍼灸院、整体のメリット・デメリットでの選び方

《整形外科のメリット》
① レントゲン、MRIなどの画像診断ができるため、ケガの原因がわかりやすく、診断をしてもらえる。
② 痛み止めや湿布などの薬を処方してもらうことができる。
③ 診断の結果、外科的手術が必要な場合は手術を受けることができる。
④ 整形外科にリハビリ施設があれば、リハビリを受けることができる。
《整形外科のデメリット》
① 混んでいる整形外科が多く、待ち時間が長い。
② 医師1人に対しての患者さんの数が圧倒的に多く、診察時間がとても短い。
③ リハビリの時間は限られていて、十分に受けることができない。
④ 薬や注射に頼っていると、自分で治す力が弱くなってしまうことがある。
⑤ 薬や注射など保存療法で症状が改善しない場合、手術を勧められことが多い。

《整骨院のメリット》
① 整形外科に比べると比較的待ち時間が少ない。
② 施術時間が長く、丁寧に施術してもらえる。
③ 後療(マッサージ)のほかにも、電気治療などの物理療法も受けることができる。
④ 院によっては、保険外治療を利用すれば、いろいろな施術を受けることができる。
《整骨院のデメリット》
① 画像診断ができないため、症状や患部の状態から予測して施術を行うことになる。
② 痛み止めなど、薬を処方することができない。
③ 整骨院によって特徴があり、自分に合う整骨院を探すのに時間がかかる。
④ 整骨院によって技術レベルや施術方針の差がある。

《鍼灸院のメリット》
① 人が本来持つ自然注力や免疫力を高めて、治療から病気・怪我の予防まで行う。
② 赤ちゃんから高齢者、妊婦さんまで施術を受けることができる。
③ 鍼灸は副作用が少なく、体に負担が少ない。
《鍼灸院のデメリット》
① 保険適用の症例が少なく、費用が高くなり、頻繁に施術を受けにくい。
② 治療方針が一般の人には理解しにくい。
③ 鍼や消毒などの衛生面、鍼折れ、気胸など、他の治療に比べると恐れを感じる人がいる。
④ 技術や治療方針の差があるので、好みの鍼灸院を見つけるのに時間がかかる。

《整体院のメリット》
① 体のバランスを整えることで、関節や筋肉の動きがスムーズになり痛みが和らぐ。
② 姿勢が良くなる。
③ 予約制のところが多く、また夜遅くや日曜日・祝日も開いている院もあるので、忙しくて時間がなくても通院できる。
《整体院のデメリット》
① あくまでも民間療法で、国家資格ではない。
② 全く健康保険を使えず、料金もバラバラ。
③ 施術技術の差がある。

◉次に、症状(急性か慢性)の違いでの選び方についてお話しします。

→ 「急性症状」への専門性の高い治療院
【整形外科】
・骨折が疑われるケガなどの外傷をした場合
・交通事故にあった場合
・ぎっくり腰など急性症状で動くことが困難な場合
・からだの痛みで、重篤な問題がないか知りたい場合
・健康保険を使いたい場合
・リハビリなど運動機能回復を希望する場合(リハビリ施設有)
【整骨院】
・軽度な捻挫、打撲、肉離れなどの外傷をした場合
・交通事故にあった場合(整形外科と併用が可)
・ぎっくり腰や寝違えなどの初期症状の場合
・健康保険を使いたい場合
・上記の症状で整形外科を受診したが、痛み止めや薬の処方だけで、症状の改善が見られない場合

→ 「慢性症状」への専門性の高い治療院
【鍼灸院】
・首、肩、腰、脚などの疲れ
・目、頭、顔の症状
・内臓の疲れ
・婦人科系の症状など
【整体(カイロプラクティック)院】
・肩こり、腰痛、膝痛を主とする関節のズレや筋肉の緊張によるもの
・頭痛、めまい、全身倦怠感など骨のズレに起因するもの
・上記の治療院で改善しなかったもの

◉まとめ
どうでしたか?
この他にも色々な基準での選び方があると思います。
何度も言いますが、治療院の選び方は、何を優先するかです。
日本では、患者さん自身が納得する治療を選択し受けることができます。ただし、自己責任は必要です。
もう一つ選択の基準で重要なのは、信頼です。まずは信頼できる先生に相談してみてはいかがでしょうか?
もし、そのような先生がいないのであれば、整形外科を受診することをお勧めします。何故かというと、整形外科では痛みの原因をきちんと画像診断してもらえるし、また治療方針も聞けるからです。そしてその方針に納得できなかったり、しばらく治療を受けても改善する見込みがなかったら、違う整形外科、整骨院、鍼灸院、整体(カイロプラクティック)などを受診してみてはいかがでしょうか?
それでもどこを受診すればよいのかわからない場合は、そこに通院したことがある人の意見を参考にされたら良いかと思います。ただし、ホームページや口コミを参考にされるのも、ありかと思います。ただし、当然それらの多くは広告なので、過剰な表現をしていることが多いということは忘れないでください。
最後に、上記のように治療院の選び方は色々ありますが、最終的には人が治療するのことですので、先生の人間性と信頼を重要な判断基準にしてみることをお勧めします。

今回はここまで。「西洋医学・東洋医学のいいとこ取りしちゃえ!鍼灸&柔整師 松本」がお伝え致しました。