健康食品・サプリメントの実態~米国との違いを通じて~

こんにちは。薬剤師の岩本まりこです。

先日、薬剤師向けの健康食品の勉強会でビックリするようなことを聞いてきたので、今回はその内容を皆さんにお伝えしたいと思います。

 

健康食品の現状・疑問点

①有効成分が本当に入っているのか?

健康食品やサプリメントのパッケージには、どの成分がどのくらい入っているか書いてありますよね。でも、本当に書いてある量が入っているのでしょうか?
実際に製品の有効成分の量を調べてみた先生がいらっしゃるそうです。

その先生によると、健康食品として出回っているコンドロイチン硫酸18種類を調べたところ、大部分の製品がパッケージに表示されていた量の3割~半分ほどしか入ってなかったとのこと。

また過去には、ある特定保健用食品(トクホ)で有効成分が入っていない製品があり、許可が取り消されたこともあったそうです。

このようなことは薬では有り得ないことです!

普段、薬を扱ってる身としては、表示量と実際の成分量が違うなんて思いもしませんでした。

②飲んでもお腹で溶けない!?

先ほどの先生は、17種の健康食品を使って溶けるかどうかの試験も行ったそうですが、そのうちの5種類が溶けなかったとのこと。

溶けないということは、せっかく飲んでも、そのまま体の外に出てしまうので、健康食品としての働きは期待できないということなんですね。

薬の場合は、新薬として申請する時に溶けるかどうかの試験をしているし、発売後もそれぞれのロットに関して一定の期間が過ぎたら再試験が行われ、もし規格から外れていれば回収されます。

この点でも、薬とはだいぶ違いますね。

 

薬と健康食品の製造について

薬はGMP(Good Manufacturing Practice)という基準に則って製造されています。

これは、製造業者や製造販売業者に求められる「適正製造規範」(製造管理・品質管理基準)のことで、品質管理とは医薬品等の原材料の入荷、検品から製造、製品の包装、出荷管理、製品保管、回収処理などに係る業務を指します。

医薬品の不具合がめったに発生しないのは、厳しいGMPが実施されているからなんですね。

健康食品の製造にもGMPは取り入れられてきているけれど、まだまだ全てのものが対応しているわけではないようです。

 

日本と米国の健康食品に関する違い

健康食品やサプリメントに関しては、日本の製品よりアメリカの製品の方がいいと言われています。それは何故でしょうか?

日本とアメリカの健康食品を取り巻く環境について比較してみます。

①製造・品質管理の厳しさ
日本:任意でOK(法律で決まっていない)
アメリカ:法律で取得が義務付けられている

②成分は表示通りに入っているか?
日本:検査しなくてもOK
アメリカ:原材料と加工してから1回ずつ、合計2回の検査が義務付けられている

③成分は体内できちんと溶けるか?
日本:検査しなくてもOK
アメリカ:法律で検査が義務付けられている

④異物混入の恐れ
日本:検査しなくてもOK
アメリカ:金属探知機での検査を義務付けられている

⑤認定機関による立ち入り検査の有無
日本:なし
アメリカ:政府の専門機関(FDA)による抜き打ち検査が行われる

これを見るだけでも、日本の健康食品に対する規則はかなり緩いことが分かります。

様々な検査をしなくていいことになっているので、抜き打ちで試験をした時に、表示した量がきちんと入っていなかったり、溶けなかったりする製品が出てくるんでしょうね。

 

日本の健康食品・サプリメントの今後

現在、健康食品やサプリメントがきちんと製造されていることを認定する第三者認証は法律で定められていませんが、最近になって、徐々に第三者認証制度が行われるようになってきているようです。

2010年には、一般社団法人日本健康食品・サプリメント情報センター(JAHFIC)が、アメリカの「ナチュラルメディシン・データベース」の内容や日本で報告されている健康被害症例などに基づき、健康食品・サプリメント製品やその製品を構成する原材料の品質と安全性を認証し、登録する制度が開始されました。

ナチュラルメディシン・データベースとは、アメリカの健康食品・サプリメントの有効性・安全性情報の集大成です。

医薬品や症状・疾患との相互作用、副作用情報、作用機序、投与量の目安などについて記載されていて、情報は随時アップデートされており、米国・英国をはじめとする各国が採用する世界で最も信頼されている健康食品・サプリメントに関するデータベースの一つです。

JAHFICが認証した製品には、「ハイクオリティ認証マーク」が付けられているので、製品を選ぶ時にチェックしてみてください。

 

まとめ

・日本の健康食品やサプリメントは、医薬品よりも規制がかなり緩い。

・米国の健康食品やサプリメントは、法律等で様々な検査が義務付けられている。

・日本でも最近になって第三者認証制度が確立した。認証された製品には、「ハイクオリティ認証マーク」が付けられている。

健康食品やサプリメントを選ぶ時には、これらのことを参考にしてみてくださいね。