Q&Aにご質問を頂いたので
今回は「ファスティングについて」お話ししたいと思います。
◇ファスティングと断食の違いは?
ひと言でいうとファスティングを日本語訳すると「断食」で、本来の断食というと、宗教的な意味合いを持つ「修行」の一つです。
断食は以下の大きく2つに分類されます。
① 水以外の物を食さない「完全断食」
② 穀物などの特定食品を食さない or 日中の食事をしない「部分断食」
最近の日本での「ファスティングブーム」では
①の完全断食の要素を持ちつつ、宗教的な意味を含んでいない簡単な食事制限といったイメージとなっているものが多く、「酵素ドリンク」を使用するものが主流となっています。(生フルーツジュース、スムージーを代用する場合もあり)
新しい物では「ジュースクレンズ」という健康法もあり、食事をジュースに置き換える「置き換えダイエット」ではありますが通常の食事をとらないという点ではファスティングと同じ分類になります。
◇ファスティング・断食の目的
一定の期間、固形物などの食事を摂らないことで胃や腸(消化器官)を休ませ、老廃物が溜まった腸内をすっきりお掃除(腸内環境を整える)し、体内酵素(消化酵素)の無駄使いを辞めるきっかけを作ることが目的です。
日本人の食生活は近年急速に変化をし、欧米化されてお肉など消化に時間がかかるものが増え、胃や腸の負担は想像をはるかに超えています。いろいろな添加物も増え、腸は「過労気味」です。
そんな腸をお休みさせてあげて、本来の働きができる環境を作ってあげましょうというのが「ファスティング・断食」です。
◇そんな人がすればいい?
・最近、だるく、疲れやすいと感じる方
・食後、いつも眠くなる方
・だんだん痩せにくくなってきた方
・便秘気味な方
・肉食中心の食事か好きな方
基本的にどんな人でもOKですが、
持病がある方(特に悪性腫瘍など)は必ず主治医の指導のもと行ってください。
確かに、体質改善ができて症状が好転する方もいらっしゃいます(よく体験談など)が、自己流は危険を伴います。専門家だけでなく必ず医師の指導を受けてください。
◇ファスティングの方法
① 準備期間・・・ファスティング・断食機関と同じ日数
(ファスティングを始める合図を胃や腸におくる)
② ファスティング(断食)期間(固形物は一切口にしない)
お砂糖、お酒、牛乳、コーヒー、紅茶、ジュース、タバコ、飴などは厳禁
③ 回復期間・・・ファスティング・断食機関と同じ日数
(空っぽになった腸に食物を届けるので消化の良い柔らかい物、離乳食のイメージ)
必ず、この手順を守ってください。
ファスティング・断食期間が長くなる場合には筋力低下やエネルギー不足などを予防するために男性では約1500kcal、女性では約1200kcalのエネルギー補給をしてください。
エネルギー&栄養素の不足は生命的に危険を伴うだけでなく、皺、たるみなど美容的にも悲惨な状態に・・・ご注意くださいね。
◇ファスティング(断食)間違いあるある
① ファスティング(断食)をすれば痩せる!
ファスティング(断食)は胃腸をお休みさせることで「消化酵素の浪費」を減らし、潜在酵素を「代謝酵素」にたくさん使える状態にすることが目的なので、食べ過ぎの方や宿便がどっさり溜まっている方、塩分の摂り過ぎでむくんでいる方は結果的に体重が減ることがあります。
② ファスティング(断食)中は運動してはいけない!
長期間の場合、エネルギーを補給するため体内で脂肪が燃焼します。その時に発生する物質(ケトン体)の血中濃度が高くなり、頭痛などの症状を引き起こすことがあります。
その緩和法に良いのが運動なのですが、普段の70%くらいを目安にしていただくとよいかと思います。頑張り過ぎて疲れて症状がひどくなったと感じた人が「運動はダメ!」と言っているのかも?
注)日頃運動をしていない方が、効果を上げようと急に運動をするのは逆効果です!お散歩くらいにしてくださいね!
③ ファスティングが終わったら好きなものを思いっきり食べても大丈夫!
ファスティング(断食)は確かに腸のお掃除ですが、今までの食生活を繰り返しているとまた同じ状況に戻ります。もともとの意味合いに「修行」という言葉が含まれていることからも、お掃除だけでなく食生活の意識を変えるという意味もあると考えます。
◇ まとめ
ファスティング(断食)は目的をしっかりもって、きちんと方法を守って行うことで、腸内のデトックスができます。
毎日365日働きづめの胃腸に「お休み」を与えてあげてください。安全にファスティング(断食)を行うためには、基礎代謝量と同じエネルギーの摂取、アミノ酸、ビタミン、ミネラルの補給も必須項目です。
いかがでしたか? 一言に「ファスティング」といってもいろんな解釈がありますので、これが正解!!ではありません。
「ファスティング = 体質改善」 ですので施術者にはとても重い責任がかかります。正しい知識とバックアップ体制の元行ってくださいね。
最後まで、お読みくださりありがとうございました。
かがう鍼灸院・整骨院 院長
加賀宇康代 Yasuyo Kagau
経歴
- 明治東洋医学院専門学校卒業
- 冨金原学院カイロプラクティック50期生
- 介護職で勤務中、整骨院の先生からスカウトされ33歳から転職
- 1日来院患者数100名を超える人気整骨院で18年勤務後、親の介護のため地元にて開業し4年目
- 勤務中は年間延べ人数約3000人の施術に携わる。また、分院長を5年ほど経験
資格
- はり師・きゅう師免許、柔道整復師免許
- 基礎医学士、ファスティングアドバイザー
- おんぷく(温腹)セラピスト