こんにちは。薬剤師の岩本まりこです。
そろそろ花粉症の季節ですね。私は花粉症があるので、この時期はちょっと憂鬱です。
みなさんは花粉症はありますか?
花粉症の方は、受診するタイミングや眠気等の薬の副作用が気になりますよね。
今回は、アレルギー薬について書いていこうと思います。
アレルギー薬の種類
【飲み薬】
アレルギーの飲み薬でよく処方されるのは、抗ヒスタミン薬という種類の薬です。
抗ヒスタミン薬は1940年代から用いられている古い薬です。
副作用として眠気、口の渇き、めまい、頭痛などが挙げられますが、近年発売された新しい抗ヒスタミン薬では、副作用が軽減されているものがたくさんあります。
昔から使われている抗ヒスタミン薬を第1世代、最近の抗ヒスタミン薬を第2世代と言います。
第2世代の抗ヒスタミン薬は血液脳関門を通過しにくい、つまり脳へ行きにくいので眠気等の鎮静作用が少ないのです。
ドラッグストアの店頭やCMでアレグラやクラリチンという薬を見かけたことがあると思いますが、これらは第2世代の抗ヒスタミン薬なので、眠気は出にくいとされています。
【点鼻薬】
鼻に直接シュッと噴霧する点鼻薬では、ステロイドの入ったものが処方されることが多いです。
ステロイドと聞くと怖い薬だと思われる人もいるようですが、ステロイドは使用方法を守って使えばとても良い薬ですし、鼻に部分的に使う場合はそれほど副作用を気にする必要はありません。
妊娠16週以降の妊婦さんにも、必要があればステロイドの点鼻薬を使うくらいですから!
どうしてもステロイドに抵抗がある方は、抗ヒスタミン薬の点鼻薬もあるので、そちらを選んでもらったらいいと思います。
点鼻薬は飲み薬よりは副作用が出にくいですが、抗ヒスタミン薬の点鼻薬で眠気が出た患者さんもいます。
飲み薬、点鼻薬に関わらず、薬で何か変わったことや気になることがあれば、医師や薬剤師に相談してくださいね。
薬を使い始めるタイミング
最近はメディアなどで早めの治療開始を呼びかけているので、かなり早い時期に薬をもらいに来る患者さんがいらっしゃいますが、あまりに早く薬を飲み始めると不必要な薬を飲むことになってしまいます。
逆に、症状がひどくなってから慌てて受診すると、症状を抑えるのが難しくなってしまいます。
花粉症では、症状が強く出る前に初期治療を始めることで、シーズン中の症状が軽くなることが分かっています。
「鼻アレルギー診療ガイドライン2016」では、第2世代抗ヒスタミン薬やステロイドの点鼻薬については、飛散開始日(予測日)または症状が少しでも現れた時点で治療を開始するよう推奨されています。
そうは言っても、忙しくてなかなかちょうど良いタイミングで受診できない方もいらっしゃいますよね。そんな方は、早めに薬をもらって手元に置いておき、症状が出てから使うようにしてもらったらいいと思います。
夢の体質改善薬
ここ数年で、スギ花粉症の治療方法に大きな変化がありました。
それは、「舌下免疫療法」の登場です。
簡単に説明すると、微量のスギ花粉エキスを長期間(3~5年)にわたって舌の下から体内に吸収させ、アレルギー症状を改善する治療法です。
この方法で約8割の患者さんに改善効果が見られ、治療を終えてもその効果は長く続くとされています。
また、ダニによるアレルギー性鼻炎に対しても同様の薬が開発・発売されています。
個人的には、ダニから抽出したエキスの成分を体内に吸収させるのには抵抗がありますが、ひどいダニアレルギーの方には本当に夢のような薬だと思います。
ただし、微量とはいえ、アレルギーの原因物質を体内に取り込むため、アナフィラキシーの発現やアレルギー反応による副作用が生じる可能性があります。そのため、きちんと研修とテストを受けた医師でないと処方ができません。
舌下免疫療法に興味のある方は、下記のサイトからお近くで実施されている医療機関を探して相談してみてください。
https://www.torii-alg.jp/mapsearch/cryptomeria.html
最後に
アレルギーの薬はいろいろな種類があり、どんどん進化しています!
でも、薬だけに頼ることなく、自分でできる対策をされることも必要だと思います。
・花粉が飛びやすい日中の外出は控える
・外出時はマスクや眼鏡をかける
・帰ってきたら家に入る前に花粉を払い落とす
これらは簡単にできる対策としてよく言われることですね。
また、睡眠をしっかり取って体調を整える、バランスの良い食事を摂ることも重要です。
サプリメントで補充するのもいいですよね。私はミネラルのサプリメントを飲むようになってから、花粉症の症状が軽くなりました。
ご自身でできる対策をされた上で、毎年花粉症の症状がひどく出る方は、今年はぜひ早めに受診してみてくださいね。
薬剤師
岩本真理子 Mariko Iwamoto
経歴
- 神戸薬科大学を卒業後、地元の調剤薬局に就職
- 西洋薬と漢方薬を取り扱う薬局で勤務した後、精神科、小児科の門前薬局を経験
- 育休中取得後、調剤薬局に復帰。仕事と育児に奮闘中。
資格
- 薬剤師
- 漢方薬・生薬認定薬剤師