痛み止めについて誤解してませんか? ~頭痛の種類と痛み止めの使い方~

こんにちは。薬剤師の岩本まりこです。

先日、患者さんからこのような相談を受けました。
「頭が痛くなることが多くて痛み止めを飲もうと思うんですが、痛み止めって眠くなったり胃が悪くなったりするんですよね?」

私もたまに頭痛が起こりますが、頭痛ってツラいですよね。痛みがある間は何も考えられなくなるし、何もしたくなくなってしまいます。

そんな時は痛み止めを飲んで早く治すのがいいと思うんですが、痛み止めに対していいイメージを持ってない方もいるようです。

今回は、そんな頭痛と痛み止めについて書いていこうと思います。

 

今回のお話

痛み止めのCMの違和感

私は、痛み止めのCMを見る度に違和感を感じることがあります。

それは、「眠くなりにくい」ことを売りにしているからです。

もともと、市販の痛み止めに入ってる成分は眠くならない成分なんです。

ロキソニンやイブなどの成分は、眠くなる人の割合はそれぞれ1%未満、5%未満とされています。

 

では、なぜ「眠くなりにくい」ことを売りにしているのでしょうか。

実は、市販の痛み止めの中には、より高い鎮痛効果を期待して鎮静成分が入っている商品があります。

この鎮静成分が眠気を起こすのです。

なので、痛み止めの成分だけのものは「眠くなりにくい」とアピールしているのです。

これは、例えば「味のついてない『いろはす』です!」ってCMしてるのと同じなんです。

水って、もともと味も匂いもしないですよね。

病院で処方される薬は一つの薬の中に一つの成分が入っていることがほとんどですが、市販の薬は一つの薬の中にいろいろな成分が配合されていることがあります。

同じブランドの薬でも、ちょっとした名前の違いによって入っている成分に違いがあるので、市販の薬を買う時はしっかり確認していきたいものです。

痛み止めで胃が悪くなる?

確かに、痛み止めの成分は胃粘膜を保護する物質を抑える働きもあるため、胃粘膜を守る力を弱めてしまうことはあります。

確率的にはかなり低いですが、胃潰瘍(いかいよう)になる方もいます。

しかし、何らかの病気のために毎日痛み止めを飲んでいるのではなく、頭痛や腰痛などでたまに痛み止めを飲む程度であれば、それほど心配する必要はないです。

病院で痛み止めをもらわれる場合、胃薬も出してくれることが多いので、一緒に飲んでもらったら胃を保護することができます。

市販の痛み止めにも胃を保護する成分が入っているものもあるので、気になる方はそういう商品を選んでもらったらいいと思います。

また、空腹時ではなく、食後に痛み止めを飲むことでも胃への負担を軽くすることができるので、できれば食後に飲んでください。

ただし、過去に胃潰瘍になったことのある方は再発の可能性があるので、市販の薬を飲むのではなく病院の先生に相談するようにしてください。

頭痛の種類と痛み止め

頭痛には大きく分けて「一次性頭痛」と「二次性頭痛」があります。

一次性頭痛というのは、いわゆる頭痛持ちの頭痛で、痛みはツラいですが危険ではない頭痛です。緊張型頭痛、片頭痛、群発頭痛が当てはまります。

二次性頭痛というのは、原因のある頭痛です。脳などの病気で起こり、危険な頭痛であることが多いです。くも膜下出血、脳出血、慢性硬膜下血腫などが当てはまります。

 

では、一次性頭痛はどのように対処すればいいでしょうか。

①緊張型頭痛

肩こりなどの緊張に伴う頭痛で、頭痛の中で最も多いタイプです。重苦しく、締め付けられる感じがします。

緊張型頭痛は市販の痛み止めで対応できます。ただし、痛み止めを頻繁に飲むことでかえって頭痛がひどくなることがあるので、まずは薬に頼らず、マッサージやストレッチ等で体をほぐしてみてください。それだけで痛みが軽くなることがあります。

肩だけでなく、頭や目の周りのマッサージも効果的ですよ! 私は肩や目の周りのマッサージをしたり、肩をグルグル回したりしています。

②片頭痛

ズキンズキンと脈打つように痛むタイプの頭痛です。発作的に起こり、吐き気を伴うこともある非常につらい頭痛です。

片頭痛の場合は、症状が軽い場合は市販の痛み止めでもいいですが、片頭痛に対する薬があるので、症状がひどい方は病院で専用の薬をもらわれる方がいいでしょう。

③群発頭痛

ある期間に集中して起こる頭痛で、目の奥をえぐられるような激しい痛みが特徴です。症状は毎日のように出て、しばらくの間(1~2か月程度)続きます。

群発頭痛の場合は痛みが起こってしまうと痛み止めが効かないので、病院で薬をもらって予防的に使うことをお勧めします。

 

二次性頭痛は、原因を取り除くと頭痛が改善されることがほとんどです。

以下のどれかに当てはまるようなら二次性頭痛の可能性があるので、早めに受診するようにしてください。

  • 突然の頭痛
  • 今までに経験したことのない頭痛
  • 頻度と程度が増していく頭痛

 

最後に

頭痛や痛み止めについていろいろ書いてきましたが、痛み止めのイメージが変わったでしょうか。

頭痛は身近だけど原因が様々で奥が深いですね。原因を知ってそれに合った対処をして、上手に付き合っていきたいものです。

皆さんも頭痛が起こった時はいつもの頭痛かと軽く考えず、自分の頭痛の原因を探ってみてはどうでしょうか? そして、必要な場合は我慢せず早めに薬を飲んでくださいね。

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